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天空率制度の基本解説

01 天空率制度とは?

平成15年1月1日より施行された改正建築基準法(以下、建基法)内において追加された制度で、従来の高さ制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)となる建基法第56条に新たに第7項として設けられました。
従来の斜線勾配等による仕様規定から、”天空率”という新たな指標を用いて高さ制限の緩和が可能となる制度(性能規定)の併用が可能となりました。

天空率参考資料

天空率制度についてのPDF 資料が以下よりダウンロードいただけます。
(生活産業研究所ホームページ内)

02 天空率とは?

任意の測定ポイントに対して正射影投影(魚眼レンズで空を見上げたもの)された図(天空図)より、
建物が投影されている範囲の除いた空間の割合(=空の見える割合)のことを天空率といいます。

03 天空図とは?

測定ポイント(O)と建築物頂部を結んだ際に発生するPを垂直に投影面に描くことによる天空図(正射影投影法)が作図できます。最終的には、円(水平投影面)の面積から建築物投影面積を引いた割合で天空率を求めます。


04 測定ポイント

測定ポイントは、各高さ(斜線)制限毎に定められています。利用する斜線制限の全てのポイントに対して天空率計算を行います。

05 適合建築物と計画建築物

天空率制度は、所定の測定ポイントに対して天空率を”比較”します。この時、比較対象元となるのが、高さ制限適合建築物(以下、適合建築物)で従来の高さ(斜線)制限を建物に置き換えたものを指します。また、原則として境界線単位の適合建築物及び計画建築物に対しての天空率算定となります。以上のことから、各測定ポイントに対して適合建築物の天空率よりも計画建築物の天空率が上回って(同等以上)いれば、従来の高さ(斜線)制限と同等のものという扱いで無視することが可能となります。

06 従来斜線(高さ制限)とどこが違うのか?

従来は、一定距離における高さは定められた高さが一律にかかっていました(仕様規定)が、天空率(空の見える割合)を利用することにより、設計者が自ら建築可能空間を創出することが可能となります。

07 対象となる建築規模

施行当初は、道路斜線等により容積が満足に消化できない土地であっても、天空率制度を利用することにより回避できるケースが多数見られることから、主にマンション等の集合住宅や事務所ビル等の中高層規模での利用が顕著でしたが、戸建て・低層建築物でも従来の斜線制限では、ホンの少し軒があたっていたために削らなければならない等の問題も回避できることから、建築規模に関係なく利用可能な制度となります。

08 本制度について

1) 制度の取扱いが異なる

施行されてから既に数年を経過しますが、各種条文等で明示されていないような敷地条件は、特定行政庁単位で取扱いが異なるケースがあります。よって敷地条件等が複雑な場合は、事前に確認(相談)することが必要となります。

2) 近隣住民からみた天空率利用建築物への戸惑い

本制度は、建築基準法という敷地に対しての建築法規における緩和規制のため、敷地条件等によっては、従来とは比較にならない位の高さまで建築可能となるケースもありますので、近隣住民から見た場合は、違和感のある建築物という見方をされることもあります。
そのもののあり方にも問題があるかもしれませんが、”合法であれば”ということだけでなく、地域環境に根ざした制度の利用も望まれます。

09 天空率をもっと詳しく

天空率について、もっと詳しく知りたい方のために、生活産業研究所株式会社で天空率関連資料を
ご用意しております。